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大麦(barley)から粒中に十分な糖化酵素を発生させた緑麦芽(green malt)を経て、乾燥した麦芽(malt)へ変換させる以前は、手作業で行われるフロアモルティリングが主流だったが、現在ではモルトスターと呼ばれる専門の業者から購入することが多い。

maltingの工程
  • 収穫 −スコットランドでは春大麦の収穫は8月頃
  • 乾燥 −水分16〜20%
  • 保管 −収穫直後の大麦は発芽しない休眠期間(dormancy)があるので、サイロで通常26〜3カ月保管する 
  • 選粒 −粒径により2,3段階分ける。大きさを揃えて吸水、発芽を均一にする。また粒検査を行い、浸透による発芽性能や寄生虫テストを行う。
  • 浸麦 −大麦を浸麦槽(steep)に移し、仕込み水に浸す。水分を45%程度含んだ状態にする。
  • 発芽 −5日から1週間くらいかけて発芽を促す。麦粒から「幼根」と呼ばれる根が出てくる。このとき、デンプン糖化酵素が活性化されて、芽の成長とともにデンプンが麦芽糖などの糖分に変換される。(この糖分がのちにアルコールになる)この間、大麦の発芽や換気が均等に行われるように麦粒がたえず攪拌されなければいけない。これが、green malt.
  • 乾燥 −発芽しすぎると糖分が減ってしまうので、発芽を止めるために乾燥させる。キルンと呼ばれる乾燥塔に移動する。この工程で、燻煙により麦芽に独特の香りが与えられ、ウィスキーにいろいろな個性をつくる。アイラ島の蒸留所のようにピート(泥炭)を炊くことで、独特のスモーキーなピーティなウィスキーをつくることができる。
     
     
     
     


粉砕した麦芽と仕込水を混ぜて、発酵に必要な麦汁(wort)を抽出することをmashingという。
  • milling 麦芽の粉砕
    麦芽をモルトミルで回転する2本のロールの間を通過させて粉にする。
    粉砕した麦芽をグリスト(grists)という。グリストは粒の大きさによって3種類に分かれる。Huskは、殻が多く含まれ、麦汁をろ過するろ材になる。


  • 構成 粒径 重量比
    Husk 1.4mm 20%
    Grits 1.4-0.2mm 70%
    Flour< 0.2mm未満 10%
     
    モルトミル(Glenfarclas蒸留所)

  • 麦汁の抽出
    粉砕した麦芽を温水と混ぜ合わせてマッシュタンとよばれる大きな金属の器で攪拌される。麦汁は麦芽のでんぷんが酵素の働きで分解され、発酵に必要な糖液になる。これを抽出する作業をmashingという。 収穫 −スコットランドでは春大麦の収穫は8月頃
    乾燥 −水分16〜20%
     
     
     


麦汁を20〜30度に冷却した後、イースト菌を加えてwashbackと呼ばれる大きな桶に移される。20度前後に冷却するのは、それ以上の温度だと、イースト菌が死んでしまうため。ウォッシュバックは蒸留所によってステンレス製のものや木製のものがある。

イースト菌は糖を食べて、アルコールと炭酸ガスに分解する。蒸留所に見学に行くと、このウォッシュバックの中を見て匂いをかぐこおができる。沸き立つ泡の中に炭酸ガスとアルコールの匂いが鼻をつく。発酵は、2、3日で終了し、アルコール6〜8%のモロミができる。このモロミをウォッシュという。
 
 


モロミ(ウォッシュ)が蒸留釜に移されていよいよ蒸留が始まる。 モルトウィスキーの場合、ポットスチルという銅製の単式蒸留釜が使われる。
各蒸留所によって形、大きさが異なる。この差異がモルトウィスキーの個性の違いに大きく寄与している。

スコットランドでは、大体2回蒸留する。1回目の蒸留を行うスチルをウォッシュスチル、2回目をスピリットスチルと呼ぶ。蒸留は、水とアルコールの沸点の違い(アルコールは約78.3℃で沸騰する)を利用したもので、アルコールが先に気化して出てくる。
スチルを加熱する方法には2通りある。1つは伝統的な直火焚きで石炭とガスを使ったやり方。2つ目はスチームパイプをスチルの中に通す方法で、スチームコイルなどの形状がある。直火焚きに比べて焦げ付く心配もなく、内部の清掃が楽なことから、現在ではこちらが主流となっている。

どちらの方法でも加熱されて気化したアルコールはスチルの首の部分からラインアームを通りコンデンサー(冷却装置)に運ばれ、そこで冷却されて再び液化する。1回目の蒸留で得られる液体をローワインと呼び、アルコール度数21~24度くらい。
2回目の蒸留では、流れ出るアルコールは3つの部分に分けられる。まず最初の部分をフォアショットあるいはヘッド、中間をミドルあるいはハーツ、最後の部分をフェインツ、テールと呼んで区分している。ウィスキーとして樽に入れられるのは、ミドルの部分だけだ。フォアショット、フェインツはアルコールの度数が高すぎたり低すぎたり、不純物が混入しているので、この部分はカットされる。通常、熟成にまわされるミドルカットは、全体の20~30%くらいという。

こうして採りだされたスピリッツをスピリッツレシーバーと呼ばれるタンクにいったん貯められる。
 
 


2回の蒸留を終えて出来上がった酒は、無色透明の蒸留酒である。しかし、この段階ではまだウィスキーとは呼べない。スコッチは最低3年の熟成が義務付けられている。そのため、この無色透明の酒を「スピリッツ」あるいは、「ニューポット」と呼ぶ。
このスピリッツに加水して樽に詰めて熟成させる。出来立てのスピリッツはアルコール濃度が70%くらいある。これに水を加えて63%前後に落としてから樽に詰める。その方が、樽の成分を引き出しやすいというのが理由である。
樽は、オーク材を使う。スコッチの熟成に使用される樽は、バーボンの熟成に使われたアメリカン・ホワイトオークもしくはシェリーの熟成に使われたヨーロピアン・オークが主である。その他、最後の数年をポート樽やワイン樽に移し変えて熟成するものもある。使用した樽によってウィスキーの個性はまったく違ったものになる。樽熟成により、
- 蒸留直後のオフフレーバー(いやな香り、欠点となる成分)を取り除く。
- 微妙なフレーバー(複雑さ)を増加させる。
- 全体に円熟味、まろやかさを増加させる。

熟成庫 warehouse
樽詰めされたウィスキーを貯蔵し、長期間熟成させるために設けられた倉庫。樽を積む方法は、伝統的なダンネージ式と、近代的なラック式の2つの方法がある。
天使の分け前 angel’s share
熟成期間中にウィスキーは樽材を通して蒸発し、中身の量が減っていく。樽の置かれた位置、温度や湿度によって異なるが、大体年に1〜2%ずつ蒸発する。これを天使が飲むということで、angel’s shareという。